知らず知らずのうちに子どもの力を奪っている…
良かれと思って子どもに接しているうちに、子ども自身の出来る力を大人が奪っている場合がよくあります。今回は子どもの出来る力を伸ばす方法をご紹介します。
【出来る力を理解する】
子どもは発達に応じて出来ることがどんどん増えていきます。特に1歳半を過ぎたあたりから、自分で出来ることが飛躍的に多くなってきます。なんでも自分でやりたい、いつもしてもらっていることを自分でやりたい、大人のしていることを真似したい、挑戦してみたいという気持ちが強くなってきます。しかし当然のことながらまだまだ自分で最後までやり切ることは難しく、大人の手助けが必要になることも多いです。今の発達を十分に把握し、どこまでは自分で出来るのか、どこからは手助けが必要なのかを十分に理解する必要があります。ここで一つ重要な事は、1回出来たから2回目も出来るとは限らないと言う事です。昨日できたから今日も出来るとは限らない。「昨日は出来たんだから今日もやってごらん!」という言葉がけは、出来る理由にはならないと言う事です。出来たり出来なかったり繰り返して、少しづつ出来るようになっていきます。
【やろうとする気持ちを尊重する】
やってみたいという気持ちはとても大切です。色々なことに興味関心を持ち、今後なんでも自分でやってみようとする意欲に繋がります。「危険なこと」「人の迷惑にならにこと」であれば、何でも挑戦させてあげてください。一旦意欲が無くなった子に、意欲を持たせるほど難しいものはありません。意欲はそれほど繊細で重要なものです。やってみようとする気持ちを尊重することで、色々なことにも主体的に取り組み、遊ぼうとする意欲、挑戦しようとする意欲、学ぼうとする意欲に繋がります。
【待つことの重要性】
子どもには子ども時間があり、子どもなりのペースがあります。大人が思っているよりずーーーっとゆっくりで、大人ほどスピーディーに出来るはずもありません。子どものペースに合わせ、待つことが大切です。大人が手伝ってしまった方が早い、朝はどうしても時間が無くて大人がやってしまう、ということは長い目でみた時にいつまでも生活面が自立しない、いつまでも手伝い続けなければならないということにもなりかねません。「早くしなさい!どうしてできないの?」などの否定的な言葉も掛けないようにしましょう。百害あって一理もありません。子どもを急かすことへの悪影響はまた別の機会にご紹介できればと思います。
【支援と援助の違い】
支援と援助の違いをご存知でしょうか?よく似ているような意味だと誤解される言葉ですが、全く意味が違います。よく発展途上国などに対して支援や援助という言葉が使われます。「お金や物資を送るのが援助」に対して「技術を伝え自分たちの手でお金を稼いだり発展させる方法を伝えるのが支援」と言われます。援助は即効性があり、現状の問題はすぐに解決するでしょう。支援は時間もかかり、手間と労力も掛かります。しかし数年後、数十年後を比較した時にどうでしょうか?援助は問題を先送りにしているだけになる場合も多々あるのです。これは子どもに対しても同じことが言え、なんでも大人が先にしてしまう事は援助と言えるでしょう。それに対し、時間を掛けてでもじっくり関わり、見守るところは見守り、手伝うところは手伝うことを支援と言えるでしょう。
【手伝うタイミング】
子どもは何かを大人に要求する時には、何らかのアクションを起こします。手伝ってと言う、目を合わせる、手を引っ張る、「うーんっうーんっ」と明らかに困っている、泣くなど、子どもによっても違いますが、何か行動を起こします。これは出来ないというサインでもあります。手伝う前には必ず「何か困ってるの?手伝っていい?」と声を掛けて許可を得てから手伝うようにしましょう。子どもは子どもなりに何でも一人前に自分で出来ると思っています。何も声を掛けずにいきなり手伝い始めるのはNGです。
しかし、ずっと待ってたら仕事に遅れちゃう…次の予定が迫ってる…という時もあると思います。そう言う時は最低限、子どもに手伝う意味を出来るだけ分かりやすいように説明してから手伝うようにしましょう。意味が理解出来ないこともあるかもしれませんが、子どもは子どもなりに雰囲気は理解しています。言葉を掛けることに意味があります。
【最後に】
昔のことわざに「急がば回れ」という言葉があります。まさしく子どもを育てるという事は、この言葉がぴったりだと思います。数年後、数十年後の子どもの姿を見据え、今必要な事は何なのか?子どもの出来る力を奪ってはいないだろうか?と考えることが大切だと思います。